あまり長くは滞在できませんが、
過酷な環境だからこそ、こうした休息の場が必要かと……。
拠点があるというのは、それだけで頼もしいものです。

サンクレッドも、あまり遠くには行かないと言っていたので、
そろそろ帰ってくるはずなんですが……。

あっ、帰ってきました……！

待たせたな。
エデンと、その周辺を見てきたぞ。

様子はどうでしたか……？

どうやら、エデンはまだ寝ぼけ眼らしい。
俺が近づいても反応なし。
周囲にも、これといって変わったものはなかった。

よかった……。
完全に目覚めていない今なら、私でも、きっと……。

……さっき言っていたことだな。
何を思いついたのか、ちゃんと話してくれ。

光の力は、いわば、停滞をもたらすものです……。
だったら「無の大地」も、何もかもが消えた場所ではなく、
「何もかもが停滞した場所」であるはず……。

もちろん、生物なんかは、
エーテルのバランスを欠いたことによって、
完全に崩壊してしまっているでしょうが……。

水や火、土や風……そういった属性の環境エーテルは、
停滞しているだけで残っているんじゃないかと考えた……
ううん、ここに立って、そう感じているんです。

エデンがその停滞をもたらしたのならば、
元に戻すことだって、できるかもしれません。

私は、その可能性に賭けてみたい。
エデンを支配して、その力で、
「無の大地」をもう一度塗り替えるんです……！

あれを支配する……
そんなことが、できるものなのか？

……理論上は可能かと。
エデンがこの地で停止したままになっていたのが、
そう断言できる理由です。

ミンフィリアがナバスアレンを護って以来、
「光の氾濫」は起こっていない……。
それは、彼女が発生源たるエデンを止めたからでしょう。

そして、エデンは消えずにここで停止していた……。
ならば用いた手段は、破壊ではなく、
何らかの干渉……制御だったと考えるのが妥当です。

……これもまた、彼女が燃やし続けてきた、
希望の灯火というわけか。

罪喰いを従えた、ドン・ヴァウスリーという前例もあります。
ミンフィリアの意志と力を継ぐリーンであれば、
試してみる価値はあると思いますが……いかがでしょうか？

……やってみないと、わかりません。
でも、世界を取り戻せる可能性があるなら、
私は試してみたいです……！

そうかもしれません……。
でも、世界を取り戻せる可能性があるなら、
危険を冒すだけの意味が、あると思うんです……！

リーンの想いはわかった。
が、具体的な手法まで思い描けているのか？

とりあえず……エデンの持つ光は、
ある点を中心に巡っているように感じ取れるんです。
心核というか……中枢というか……そういう場所だと思います。

どうにかそこに行くことができれば、
タロースにエーテルを流し込んで起動したときのように、
制御できるんじゃないかなって……。

ふむ……。
それであれば、いくらかお手伝いできるかもしれません。

リーンの感じている、エデンの核……
「エデンコア」への力の流れを地脈に見立て、
転移装置での侵入経路を拓くのです。

幸い、水晶公の指示のもと、
クリスタリウムの自治組織「セツルメント」の協力を受けて、
いくつかの魔器を提供していただいております……。

少しばかりの時間と、リーンの力を貸していただければ、
エデンコアまで移動できるようにいたしましょう。

制御に際しても、あなたのエーテルを増幅、拡散できるような、
魔器を設置することにいたしましょう。
操縦桿のようなものだと思っていただいて構いません。

すごい……！
ウリエンジェは、そんなこともできるんですね……！？

エーテル学や、魔器の扱いについて大変詳しい、
幼馴染がいたのです。
こちらが別のことをしていても、熱く語ってくるような……。

私にもまた、希望の灯火で導いてくれる女性がいた……
ということですね。

となれば、次は誰が突入するかだが……。
エデンの中には、守護者なり、防衛機構なりが、
待ち構えていると想定しておいた方がいい。

その上で、Yuhki……
お前に先陣を任せられないか？

サンクレッド！？
駄目です、あれが罪喰いに近い存在であるならば、
Yuhkiさんは関わるべきじゃ……！

わかってる……。
俺だって、こいつが光をため込んでどうなったか、
もちろん忘れたわけじゃない……。

だが、アリゼーも言っていただろう。
できもしないことを約束するのは優しさではない……とな。
相手が大罪喰い級である以上、ほかに誰がやり遂げられる？

だったら私が……！

……ああそうだ。
お前だって、がんばらなくちゃならない。
自身の望みで進もうというなら、なおさらだ。

いいか、お前は何があっても冷静に、
周囲すべての光を感知しつづけろ。
エデン自体や、俺たち全員のな……。

そして、もし異変があったら、すぐに報せるんだ。
この調査は、下手をすれば、一瞬で全滅する危険性がある。
それを察知し、回避を促せるとしたら、お前しかいない。

Yuhkiさんが、それでいいなら……。

ありがとうございます。
それなら私は、何に代えても、
みなさんの安全を護ってみせます……！

では、さっそく準備にとりかかると致しましょう。
その後、Yuhkiさんの戦闘準備ができ次第、
転移装置からエデンコアへと突入を……。

中と外でも連絡がとれるよう、
クリスタリウムで借りた、リンクパールをお渡ししておきます。

例によって、塔内の遺物を修繕したものなので、
あまり精度はよくありませんが……ないよりは良いでしょう。

転移装置の設置は、完了いたしました。
サンクレッドの言うとおり、障害が待つ可能性は高い……
くれぐれも気をつけて、突入なさってください。

この場所からなら、エデン全体の力の流れがわかります。
何かに気づいたら、さっきの……リンクパールで、
すぐに連絡を入れます！

火がつかないな……。
これが、属性が停滞しているということか……。

こんな世界を、再生させようだなんて、
リーンも大きく出たものだ。
……一緒に手を貸してくれ、Yuhki。

エデンコアに、急速に力が集まっています……！
これは……エデンの分身……！？
Yuhkiさん、気をつけて！

まさか、分身を守護者としてくるとは……。
あなたが無事に帰還なさって、ひとまず安心いたしました。

守護者の出現によって、エデンの力の流れが変わって、
一時的に内部に転移できなくなったんだ。
援護すらできず、悪かった……。

お帰りなさい……！
あ、あの、そのまま少し、じっとしていてください……！

……よかった。
あなたの身体に光が蓄積されたりはしていないようです。
分身だったからでしょうか……。

あなたのおかげで守護者は消滅……。
これで、エデンの支配に乗り出せると思います。
さっそく、みんなでエデンコアへ向かいましょう！

さて、ここからはリーンが力を見せるときだ。
あいつの決意と覚悟……お前も、見届けてやってくれ。

ご覧のとおり、制御用の魔器の設置は完了いたしました。
あとは最終調整を残すのみ……。
もうしばらく、お待ちください。

……ウリエンジェの最終調整が終わり次第、
エデンの支配にとりかかります。
見ていてください、必ず成功させます……！

こちらの調整は完了しました。
リーン、任せても？

……いきます。

エデンが、震えている？

支配しようとするリーンに、抵抗しているのでしょう。
押し切れる、とは思いますが……。

くっ……負け、ないから……！

ウリエンジェ！？

私は大丈夫です……。
ですが、リーンが……。

私の言うことを……聞きなさいッ！

今度は大きいぞ！
これは……。